んな風な人でしょう」「寒月の事を聞いて、何《なん》にするんです」と主人は苦々《にがにが》しく云う。「やはり御令嬢の御婚儀上の関係で、寒月君の性行《せいこう》の一斑《いっぱん》を御承知になりたいという訳でしょう」と迷亭が気転を利《き》かす。「それが伺えれば大変都合が宜《よろ》しいのでございますが……」「それじゃ、御令嬢を寒月におやりになりたいとおっしゃるんで」「やりたいなんてえんじゃ無いんです」と鼻子は急に主人を参らせる。「ほかにもだんだん口が有るんですから、無理に貰っていただかないだって困りゃしません」「それじゃ寒月の事なんか聞かんでも好いでしょう」と主人も躍起《やっき》となる。「しかし御隠しなさる訳もないでしょう」と鼻子も少々喧嘩腰になる。迷亭は双方の間に坐ってA銀煙管《ぎんぎせる》を軍配団扇《ぐんばいうちわ》のように持って、心の裡《うち》で八卦《はっけ》よいやよいやと怒鳴っている。「じゃあ寒月の方で是非貰いたいとでも云ったのですか」と主人が正面から鉄砲を喰《くら》わせる。「貰いたいと云ったんじゃないんですけれども……」「貰いたいだろうと思っていらっしゃるんですか」と主人はこの婦人鉄
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