まさあね」「そう人様《ひとさま》の事を悪く云うものではない。これも寿命《じゅみょう》だから」
 三毛子も甘木先生に診察して貰ったものと見える。
「つまるところ表通りの教師のうちの野良猫《のらねこ》が無暗《むやみ》に誘い出したからだと、わたしは思うよ」「ええあの畜生《ちきしょう》が三毛のかたきでございますよ」
 少し弁解したかったが、ここが我慢のしどころと唾《つば》を呑んで聞いている。話しはしばし途切《とぎ》れる。
「世の中は自由にならん者でのう。三毛のような器量よしは早死《はやじに》をするし。不器量な野良猫は達者でいたずらをしているし……」「その通りでございますよ。三毛のような可愛らしい猫は鐘と太鼓で探してあるいたって、二人《ふたり》とはおりませんからね」
 二匹と云う代りに二《ふ》たりといった。下女の考えでは猫と人間とは同種族ものと思っているらしい。そう云えばこの下女の顔は吾等|猫属《ねこぞく》とはなはだ類似している。
「出来るものなら三毛の代りに……」「あの教師の所の野良《のら》が死ぬと御誂《おあつら》え通りに参ったんでございますがねえ」
 御誂え通りになっては、ちと困る。死ぬと云
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