tの結果|漸《ようや》く茲《ここ》に独力以て我が理想に適するだけの校舎新築費を得るの途を講じ候《そろ》其《そ》は別義にも御座なく別冊裁縫秘術綱要と命名せる書冊出版の義に御座|候《そろ》本書は不肖|針作《しんさく》が多年苦心研究せる工芸上の原理原則に法《のっ》とり真に肉を裂き血を絞るの思を為《な》して著述せるものに御座|候《そろ》因《よ》って本書を普《あまね》く一般の家庭へ製本実費に些少《さしょう》の利潤を附して御購求《ごこうきゅう》を願い一面|斯道《しどう》発達の一助となすと同時に又一面には僅少《きんしょう》の利潤を蓄積して校舎建築費に当つる心算《つもり》に御座|候《そろ》依っては近頃|何共《なんとも》恐縮の至りに存じ候えども本校建築費中へ御寄附|被成下《なしくださる》と御思召《おぼしめ》し茲《ここ》に呈供仕|候《そろ》秘術綱要一部を御購求の上御侍女の方へなりとも御分与|被成下候《なしくだされそろ》て御賛同の意を御表章|被成下度《なしくだされたく》伏して懇願仕|候《そろ》※[#「勹<夕」、第3水準1−14−76]々《そうそう》敬具
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[#地から5字上げ]大日本女子裁縫最高等大学院
[#地から2字上げ]校長 縫田針作《ぬいだしんさく》 九拝
とある。主人はこの鄭重《ていちょう》なる書面を、冷淡に丸めてぽんと屑籠《くずかご》の中へ抛《ほう》り込んだ。せっかくの針作君の九拝も臥薪甞胆も何の役にも立たなかったのは気の毒である。第三信にかかる。第三信はすこぶる風変りの光彩を放っている。状袋が紅白のだんだらで、飴《あめ》ん棒《ぼう》の看板のごとくはなやかなる真中に珍野苦沙弥《ちんのくしゃみ》先生|虎皮下《こひか》と八分体《はっぷんたい》で肉太に認《したた》めてある。中からお太《た》さんが出るかどうだか受け合わないが表《おもて》だけはすこぶる立派なものだ。
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若《も》し我を以て天地を律すれば一口《ひとくち》にして西江《せいこう》の水を吸いつくすべく、若《も》し天地を以て我を律すれば我は則《すなわ》ち陌上《はくじょう》の塵のみ。すべからく道《い》え、天地と我と什麼《いんも》の交渉かある。……始めて海鼠《なまこ》を食い出《いだ》せる人は其胆力に於て敬すべく、始めて河豚《ふぐ》を喫《きつ》せる漢《おとこ》は其勇気に於《おい》て重んずべし。
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