でなければ相談になろう。奔走しても好い」
悄然《しょうぜん》として項垂《うなだ》れていた小野さんは、この時居ずまいを正《ただ》した。顔を上げて宗近君を真向《まむき》に見る。眸《ひとみ》は例になく確乎《しっか》と坐っていた。
「真面目な処置は、出来るだけ早く、小夜子と結婚するのです。小夜子を捨てては済まんです。孤堂先生にも済まんです。僕が悪かったです。断わったのは全く僕が悪かったです。君に対しても済まんです」
「僕に済まん? まあそりゃ好い、後《あと》で分る事だから」
「全く済まんです。――断わらなければ好かったです。断わらなければ――浅井はもう断わってしまったんでしょうね」
「そりゃ君が頼んだ通り断わったそうだ。しかし井上さんは君自身に来て断われと云うそうだ」
「じゃ、行きます。これから、すぐ行って謝罪《あやま》って来ます」
「だがね、今僕の阿父《おやじ》を井上さんの所へやっておいたから」
「阿父《おとっ》さんを?」
「うん、浅井の話によると、何でも大変怒ってるそうだ。それから御嬢さんはひどく泣いてると云うからね。僕が君のうちへ来て相談をしているうちに、何か事でも起ると困るから慰問《
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