《おとう》さんに逢《あ》ひに来《き》たんですが、今《いま》御客《おきやく》の様だから、序《ついで》と云つては失礼だが、貴方《あなた》にも御話《おはなし》をして置きます」
梅子は代助の様子が真面目なので、何時《いつ》もの如く無駄|口《くち》も入れずに聞いてゐたが、聞き終つた時、始めて自分の意見を述べた。それが極《きわ》めて簡単《かんたん》な且つ極《きわ》めて実際的な短かい句であつた。
「でも、御父《おとう》さんは屹度御困りですよ」
「御父《おとう》さんには僕が直《ぢか》に話すから構ひません」
「でも、話《はなし》がもう此所《こゝ》迄|進《すゝ》んでゐるんだから」
「話が何所《どこ》迄進んでゐやうと、僕はまだ貰《もら》ひますと云つた事はありません」
「けれども判然《はつきり》貰《もら》はないとも仰しやらなかつたでせう」
「それを今云ひに来《き》た所です」
代助と梅子は向《むか》ひ合《あ》つたなり、しばらく黙《だま》つた。
十四の四
代助の方では、もう云ふ可《べ》き事《こと》を云ひ尽《つ》くした様な気がした。少《すく》なくとも、是《これ》より進《すゝ》んで、梅子に自分
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