得ないんだらうと諦《あきら》めてゐたが、仕舞にはそれが段々|高《かう》じて、程度《ほうづ》が無くなる許なので三千代も心配をする。すれば身体《からだ》が悪《わる》くなる。なれば放蕩が猶募る。不親切なんぢやない。私《わたくし》が悪《わる》いんですと三千代はわざ/\断わつた。けれども又淋しい顔《かほ》をして、責《せ》めて小供でも生きてゐて呉れたら嘸《さぞ》可《よ》かつたらうと、つく/″\考へた事もありましたと自白した。
 代助は経済問題の裏面に潜んでゐる、夫婦の関係をあらまし推察し得た様な気がしたので、あまり多く此方《こつち》から問《と》ふのを控えた。帰りがけに、
「そんなに弱《よは》つちや不可《いけ》ない。昔《むかし》の様に元気に御成《おな》んなさい。さうして些《ちつ》と遊びに御|出《いで》なさい」と勇気をつけた。
「本当《ほんと》ね」と三千代は笑つた。彼等は互《たがひ》の昔《むかし》を互《たがひ》の顔《かほ》の上《うへ》に認めた。平岡はとう/\帰つて来《こ》なかつた。

       八の五

 中二日《なかふつか》置《お》いて、突然平岡が来《き》た。其|日《ひ》は乾いた風《かぜ》が朗《
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