てその力が私にお前は何をする資格もない男だと抑《おさ》え付けるようにいって聞かせます。すると私はその一言《いちげん》で直《すぐ》ぐたりと萎《しお》れてしまいます。しばらくしてまた立ち上がろうとすると、また締め付けられます。私は歯を食いしばって、何で他《ひと》の邪魔をするのかと怒鳴り付けます。不可思議な力は冷《ひや》やかな声で笑います。自分でよく知っているくせにといいます。私はまたぐたりとなります。
 波瀾《はらん》も曲折もない単調な生活を続けて来た私の内面には、常にこうした苦しい戦争があったものと思って下さい。妻《さい》が見て歯痒《はがゆ》がる前に、私自身が何層倍《なんぞうばい》歯痒い思いを重ねて来たか知れないくらいです。私がこの牢屋《ろうや》の中《うち》に凝《じっ》としている事がどうしてもできなくなった時、またその牢屋をどうしても突き破る事ができなくなった時、必竟《ひっきょう》私にとって一番楽な努力で遂行《すいこう》できるものは自殺より外《ほか》にないと私は感ずるようになったのです。あなたはなぜといって眼を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みは》るかも知れませんが、いつも私
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