、卒然《そつぜん》Kに脅《おびや》かされるのです。つまり妻が中間に立って、Kと私をどこまでも結び付けて離さないようにするのです。妻のどこにも不足を感じない私は、ただこの一点において彼女を遠ざけたがりました。すると女の胸にはすぐそれが映《うつ》ります。映るけれども、理由は解《わか》らないのです。私は時々妻からなぜそんなに考えているのだとか、何か気に入らない事があるのだろうとかいう詰問《きつもん》を受けました。笑って済ませる時はそれで差支《さしつか》えないのですが、時によると、妻の癇《かん》も高《こう》じて来ます。しまいには「あなたは私を嫌っていらっしゃるんでしょう」とか、「何でも私に隠していらっしゃる事があるに違いない」とかいう怨言《えんげん》も聞かなくてはなりません。私はそのたびに苦しみました。
私は一層《いっそ》思い切って、ありのままを妻に打ち明けようとした事が何度もあります。しかしいざという間際になると自分以外のある力が不意に来て私を抑《おさ》え付けるのです。私を理解してくれるあなたの事だから、説明する必要もあるまいと思いますが、話すべき筋だから話しておきます。その時分の私は妻に
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