ましょうか、何しろ一つの塊りでした。石か鉄のように頭から足の先までが急に固くなったのです。呼吸をする弾力性さえ失われたくらいに堅くなったのです。幸いな事にその状態は長く続きませんでした。私は一瞬間の後《のち》に、また人間らしい気分を取り戻しました。そうして、すぐ失策《しま》ったと思いました。先《せん》を越されたなと思いました。
しかしその先《さき》をどうしようという分別はまるで起りません。恐らく起るだけの余裕がなかったのでしょう。私は腋《わき》の下から出る気味のわるい汗が襯衣《シャツ》に滲《し》み透《とお》るのを凝《じっ》と我慢して動かずにいました。Kはその間《あいだ》いつもの通り重い口を切っては、ぽつりぽつりと自分の心を打ち明けてゆきます。私は苦しくって堪《たま》りませんでした。おそらくその苦しさは、大きな広告のように、私の顔の上に判然《はっき》りした字で貼《は》り付けられてあったろうと私は思うのです。いくらKでもそこに気の付かないはずはないのですが、彼はまた彼で、自分の事に一切《いっさい》を集中しているから、私の表情などに注意する暇がなかったのでしょう。彼の自白は最初から最後まで
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