んだものかは、前に書いた通りですから繰り返しません。私は不平と幽欝《ゆううつ》と孤独の淋《さび》しさとを一つ胸に抱《いだ》いて、九月に入《い》ってまたKに逢《あ》いました。すると彼の運命もまた私と同様に変調を示していました。彼は私の知らないうちに、養家先《ようかさき》へ手紙を出して、こっちから自分の詐《いつわ》りを白状してしまったのです。彼は最初からその覚悟でいたのだそうです。今更《いまさら》仕方がないから、お前の好きなものをやるより外《ほか》に途《みち》はあるまいと、向うにいわせるつもりもあったのでしょうか。とにかく大学へ入ってまでも養父母を欺《あざむ》き通す気はなかったらしいのです。また欺こうとしても、そう長く続くものではないと見抜いたのかも知れません。

     二十一

「Kの手紙を見た養父は大変怒りました。親を騙《だま》すような不埒《ふらち》なものに学資を送る事はできないという厳しい返事をすぐ寄こしたのです。Kはそれを私《わたくし》に見せました。Kはまたそれと前後して実家から受け取った書翰《しょかん》も見せました。これにも前に劣らないほど厳しい詰責《きっせき》の言葉がありま
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