。奥さんは二、三そういう話のないでもないような事を、明らかに私に告げました。しかしまだ学校へ出ているくらいで年が若いから、こちらではさほど急がないのだと説明しました。奥さんは口へは出さないけれども、お嬢さんの容色に大分《だいぶ》重きを置いているらしく見えました。極《き》めようと思えばいつでも極められるんだからというような事さえ口外しました。それからお嬢さんより外《ほか》に子供がないのも、容易に手離したがらない源因《げんいん》になっていました。嫁にやるか、聟《むこ》を取るか、それにさえ迷っているのではなかろうかと思われるところもありました。
話しているうちに、私は色々の知識を奥さんから得たような気がしました。しかしそれがために、私は機会を逸《いっ》したと同様の結果に陥《おちい》ってしまいました。私は自分について、ついに一言《いちごん》も口を開く事ができませんでした。私は好《い》い加減なところで話を切り上げて、自分の室《へや》へ帰ろうとしました。
さっきまで傍《そば》にいて、あんまりだわとか何とかいって笑ったお嬢さんは、いつの間にか向うの隅に行って、背中をこっちへ向けていました。私は立
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