てゐる
[#ここで字下げ終わり]
などゝ俳句する、まだ小学二年なのに。
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ひさしぶりの話がつきない夜の雨になり
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三月廿八日[#「三月廿八日」に二重傍線] 曇。
身辺整理。
坊ちやんお嬢さん同行で、木曽川あたりへ遊ぶ、お辨当に家人の心づくしがこめられてゐた、酒――それは私にだけの――には殊に。――
鈴鹿山がひかる、伊吹山も。
風が出た、風は何よりもいつも寂しい。
めづらしいよい遊びの一日ではあつた。
三月廿九日[#「三月廿九日」に二重傍線] 晴。
朝酒はありがたすぎる。
私を[#「を」に「マヽ」の注記]旅に出て来て、もつたいないと思ふ。
私は私の友の友情に値しないことを私みづからよく知つてゐる。
津島地方の産物は毛織物と蕗、面白い取合である。
濃美[#「美」に「マヽ」の注記]平野はうらゝかだつた。
午后、漁君と同道して、蓴蓮亭を訪ふ、夜は句会。
例によつて飲みすぎる、しやべりすぎる。
三月三十日[#「三月三十日」に二重傍線] 晴。
きしめん――名古屋名物の一つといはれる揚豆腐をあしらつたうどん――を御馳走になる。
それから
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