#「六月廿二日」に二重傍線] 雨、夏至。

おなじく。――
いかに生くべきか[#「いかに生くべきか」に傍点]、かうしてゐて私はどうするのか、どうなるのか、考へてゐたところで、どうにもならない私ではないか。
自己の純化[#「自己の純化」に傍点]、生活の正しさ[#「生活の正しさ」に傍点]、建て直せ[#「建て直せ」に傍点]、建て直せ[#「建て直せ」に傍点]!
時代の認識[#「時代の認識」に傍点]、人生の真実[#「人生の真実」に傍点]、私は再出発する外ない[#「私は再出発する外ない」に傍点]!

 六月廿三日[#「六月廿三日」に二重傍線] 曇。

窮すれば通ず、といふ、やうやく転一歩した、さらに転一歩しよう、しなければならない。
五日ぶりに外出、W店へ筍を持つていつてあげる、飲まないで戻つたのは上出来だつた。
文字通り一文なし、それでも落ちついてをれる。
一切放下着[#「一切放下着」に傍点]、水の湧くやうに、溢れるやうに流れるやうに。

 六月廿四日[#「六月廿四日」に二重傍線] 雨、雨、雨。

食べるものがない、何もかもなくなつた、ぢつとして雨を観てゐた。……
今日も郵便は来ないのか、今日も
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