時半着、待合室で夜の明けるのを待ちかねて澄太居、いや、これからは柊屋[#「柊屋」に傍点]へ押しかけた、澄太君が寝床からニコ/\起きて来た。
うまい酒だつた(酒そのものも文字通りの生一本だつた)、あゝ極楽々々!
午後、奥さも[#「さも」に「マヽ」の注記]いつしよに出かける、新天地でニユース映画を観る、帰途、小野さんの宅に立寄る。
晩酌のよろしさ、しばらく話して、ぐつすりと寝た。

 五月三十日 梅雨日和。

句稿整理。
螻子居を訪ねる、それから黙壺君に逢ふ、マア/\ヤア/\! それで万事OKだ! うれしいな。
黙壺君と同道して再び螻子居へ、そして三人で澄太君へ、とぶ螢、それをとらへるみんなのすがた、私は酔うて、たゞもう愉快であつた。
それから、黙壺君と二人ぎりになり、新天地を飲み歩いた、泥酔してしまつた、黙壺君すみませんでした!

 五月三十一日 曇、黙壺居。

朝酒のうまさよ。
高等学校の郊汀さんを訪ふ、初対面であるが、どちらもノンベイなので、新天地へ出かけて飲みまはる、中国新聞社で黙壺君に落ち合ひ、三人元気よく江波の山陽茶屋[#「山陽茶屋」に傍点](とでもいはうか)まで押しだして、う
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