い花にあこがれ、或は「青い花」を求めあるいた。赤い花はしぼんでくずれた。青い花は見つからなかった。そして灰色の野原がつづいた。
けさ、萩にかくれて咲き残っている花茗荷をふと見つけた。人間の残忍な爪はその唯一をむしりとったのである。
葉や株のむくつけきに似もやらず、なんとその花の清楚なことよ、気高いかおりがあたりにただようて、私はしん[#「しん」に傍点]とする。
見よ、むこうには茶の花が咲き続いているではないか。そうだったか――白い花だったか!
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萩ちればコスモス咲いてそして茶の花も
[#ここで字下げ終わり]
[#地付き](「愚を守る」初版本)
底本:「山頭火随筆集」講談社文芸文庫、講談社
2002(平成14)年7月10日第1刷発行
2007(平成19)年2月5日第9刷発行
初出:「愚を守る 初版本」
1941(昭和16)年8月
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2008年5月19日作成
青空文庫作成ファイル:
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