日[#「八月十日」に二重傍線] 晴。

おなじく。

 八月十一日[#「八月十一日」に二重傍線] 晴。

暑い/\。
街の米屋へ出かける、死なゝいかぎりは食べなければならない。
途上で暮羊君に出くわす、午後、同君がビールやら何やら持ちこんで来て、IさんJさんもやつて来て、愉快に飲む語る。
がちや/\が鳴き初めた。

 八月十二日[#「八月十二日」に二重傍線] 晴。

だいぶ落ちついた、身のまはりをかたづける。
夜、Nさん来庵。
生死に迷ふ。――

 八月十三日[#「八月十三日」に二重傍線] 晴。

空々寂々。

 八月十四日[#「八月十四日」に二重傍線] 晴。

捨身、一切を捨てろ、捨身には生も死もない[#「捨身には生も死もない」に傍点]。
――日暮而道遠、吾生既蹉※[#「足へん+它」、第3水準1−92−33]、――放逸無慚の過去がひし/\と迫る、ああ。
欝々として今日も過ぎ去るか。
マツチがなくなつたので――マツチのありがたさを今更のやうに感じる、――四日ぶりに街へ出かけた、S屋で一杯ひつかけたが、うまくなかつた、うまくない筈だ。
最後のもの[#「最後のもの」に傍点]がやつてくる。…
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