月三十一日[#「十二月三十一日」に二重傍線] 曇。

雨、あたゝかな、おだやかな。
昭和十一年もいよ/\今日かぎりだ。
飲みすぎ食べすぎ。
大晦日だから身のまはり家のまはりを少しばかり片づける。
郵便が来ない。
街へ、湯屋へ出かける。
松、梅、竹、裏白、譲葉、……門松らしいものをこしらへて飾る。
夕方、樹明君来庵、例年の如く餅を頂戴する、有合の下物で飲む、――かうして、こゝで、年を送り年を迎へる、めでたしめでたし。
暮れてから湯田へ、千人湯に浸つてから一杯二杯三杯。……
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掛取にも見離された節季!
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底本:「山頭火全集 第七巻」春陽堂書店
   1987(昭和62)年5月25日第1刷発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※複数行にかかる中括弧には、けい線素片をあてました。
※「僕《ヲレ》の食堂[#「僕《ヲレ》の食堂」に傍点]」のルビ「ヲレ」は、底本では「僕」の左側にうたれています。傍点は右側にうたれています。
※「騒」と「騷」の混在は底本通りにしました。
入力:小林繁雄
校正:仙酔ゑびす
2009年9月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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