るよろこび!
※[#二重四角、365−9]無駄に無駄を重ねたやうな一生だつた[#「無駄に無駄を重ねたやうな一生だつた」に傍点]、それに酒をたえず注いで[#「それに酒をたえず注いで」に傍点]、そこから句が生れたやうな一生だつた[#「そこから句が生れたやうな一生だつた」に傍点](回想録[#「回想録」に白三角傍点]の一節として)。
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十二月十五日[#「十二月十五日」に二重傍線] 晴、晴、晴。
今日の太陽の第一線を身心に浴びて起きた。
雲のない、風もないうらゝかさ、めずらしく一日通して申分のない小春日和だつた。
小春日といふものは何となく老人くさいと思ふが如何。
午後、あまりお天気がよいので散歩、農学校に寄つて新聞を読ませて貰ふ、新聞といふものは面白い必需品だ、最近のセンセーシヨナルな記事としては、英帝退位[#「英帝退位」に傍点]と蒋介石監禁[#「蒋介石監禁」に傍点]、事実としての関心があると共に小説的興味[#「小説的興味」に傍点]がある。
樹明君にも逢つたが、お互に酒の捻出が出来ないので、ほいなくもさびしいわかれ!
つつましく生きやう[#「つつましく生きやう」に傍点]、藪柑子のやうに[#「藪柑子のやうに」に傍点]。――
夕闇せまれば――一杯やりたいな――心の友達といつしよに。――
餅が食べな[#「な」に「マヽ」の注記]いな、煮てもよし焼いてもよし、田舎餅[#「田舎餅」に傍点]がうまいな。
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□眼が二つある、耳も二つある、手も足もまた二つある、そして口は一つ[#「口は一つ」に傍点]、一つしかない[#「一つしかない」に傍点]。
自然はまつたく抜目がない。
一つの口でさへ食べさせかねてゐる私たちだ!
眼が一つ潰れても、耳が片方聴えなくなつても、手足が一本は折れても、けつこう間に合ふではないか。
…………………………
□昨日の事は忘れてしまへ[#「昨日の事は忘れてしまへ」に傍点]、明日の事は考へないがよい[#「明日の事は考へないがよい」に傍点]、今日の事に生きよ[#「今日の事に生きよ」に傍点]。
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実行はむつかしいけれど、私には、日々の実感だ。
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□自己の内に[#「自己の内に」に傍点]自然を見出す。
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