ては珍らしい)、労れてゐるので起きて見る元気もなく、そのまゝ睡りつゞけた。
今日はまことによい日[#「よい日」に傍点]であつた。
山口で外郎[#「外郎」に傍点]一包を買つた、明日徃訪する白船老への土産として。
S奥さんの温情にうたれた、尊敬と信頼とに値する女性として。
今日もしみ/″\感じたことであるが、私もたうとう『此一筋』につながれてしまつた、私の中で人と句とが一つになつてゐる[#「私の中で人と句とが一つになつてゐる」に傍点]、私が生活するといふことは句作することである、句を離れて私は存在しないのである。
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ぐうたら手記
※[#二重四角、283−3]私にも三楽[#「三楽」に傍点]といふやうなものがないこともない、――三楽といふよりも三福[#「三福」に傍点]といつた方が適切かも知れない。――
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一、わがままであること、
二、ぐうたらであること、
三、やくざであること、
[#ここから2字下げ]
いひかへれば、私が無能無力にして独身であり俳人であることに外ならない!
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから1字下げ、折り
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