しく虫のいのちをひろげる。……
酒精中毒の徴候として、爪に筋があらはれた!
長い夜がいよ/\長い、あゝ。
○無理のない生活[#「無理のない生活」に傍点]、悔のない生活[#「悔のない生活」に傍点]、本然の生活[#「本然の生活」に傍点]。
[#ここから2字下げ]
・空も秋がきた地しばり草の花も
・つくつくぼうしよ死ぬるばかりの私となつて
・死ねる薬が身ぬちをめぐるつくつくぼうし
・今が最後の、虫の声の遠ざかる
・家があつて墓があつて草が青くて
草の中ゆく私の死のかげ
[#ここで字下げ終わり]
九月七日[#「九月七日」に二重傍線]
曇つた空から雨が落ちる、まつたく秋だ。
恥知らずの手紙を二つ書く、恥はむしろ洒した方がホントウだらう。
○暗中在明、明中在暗、明暗雙々底。
樹明君を学校に徃訪する、数日ぶりに話した。
四日ぶりに、人間に会うて話し、酒を一杯飲んだのである。
沈黙は私をいら/\させ、そしてじめ/\させる。
○不幸な鰐[#「不幸な鰐」に傍点]! 古い文藝春秋で此一文を読んで、たいへん動かされた。
○門外不出、いや不能出。
○とても心臓が悪い、それはむしろ私のよろこびである、私は
前へ
次へ
全114ページ中10ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング