当を食べ、そしてお昼寝だ、昼寝から覚めてさかんに悪口をいふ、やつてこないお客さんに向つて、――とう/\たまらなくなつて、街へ出て一杯やる。
よく食べてよく飲んだ、よく戻つてよく寝た。
酔うて乱れない樹明[#「酔うて乱れない樹明」に傍点]を見出したことが何よりもうれしかつた。
山頭火は酔うて朗らかだつた。
△去年は蒲団を飲み、今年は風呂を食べた。……
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・けふ咲きだした糸瓜が一つあすは二つで
・うまくだまされたが、月がのぼつた(敬君に)
・蠅はうごかない蠅たたきのしたで
・いつしよに昼寝さめてかなかな(樹君に)
・待つても待つても来ない糸瓜の花もしぼんでしまつた(礼、敬、二君に)
・けさも雨ふる鏡をぬぐふ
・月夜、飲んでも酔はない二人であるく(樹君に)
日記といふもの
改作再録
・ゆふなぎしめやかにとんでゐるてふねてゐるてふ
・病みて寝てまことに信濃は山ばかり
・ちんぽこもおそそもあふれる湯かな(千人風呂)
山があれば山を観る
雨のふる日は雨を聴く
春、夏、秋、冬
受用しつくさない
花開時蝶来
蝶来時花開
(善導大師の言葉)
従仏逍遙帰自然、自然即是弥陀国
「百花春到為誰開」
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底本:「山頭火全集 第六巻」春陽堂書店
1987(昭和62)年1月25日第1刷発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:小林繁雄
校正:仙酔ゑびす
2009年7月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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