樹明君を宿直室に訪ねる、よく話しよく飲みよく食べた、ずゐぶん酔ふたが、習慣と心構へとがはたらいて、おとなしく戻つて寝た(残つた酒を持つて!)。
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・山は若葉の、そのなかの広告文字
山肌いろづき松蝉うたふ
・なんにもなくなつて水の音
・石にとんぼはかげをすえ
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五月五日[#「五月五日」に二重傍線]
曇、端午、男の祝日、幸にして酒がある、朝から飲む、今日一日は好日であれ。
終日閑居、昼寝したり、読書したり、蕗を摘んだり、草をとつたり、空想したり、追憶したりして。
若葉の月はよかつた。
今日は一句も出来なかつた。
五月六日[#「五月六日」に二重傍線] 立夏。
早起すぎた、明けるのが待遠かつた。
晴、ネルセルシーズンだ。
入雲洞君の手紙はありがたかつた、黎々火君のはがきはうれしかつた、しげ子さんのたよりはかなしかつた。
暮春と貧乏との関係如何!
酒を借り、魚を借りて来て、樹明君を招待した、よい酒宴であり、よい月見であつた。
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食べたものがそのまゝで出る春ふかし([#ここから割り注]何ときたない、そして何とまじめ
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