『枇杷』が休刊のやむなきに立ちいたったのはまことに惜しいことであるが、編輯者が揚言せられるように、その収獲[#「獲」に「ママ」の注記]と功績とは決して小でないと思う。一日も早く復活再刊の日が来ることを祈ります。
 広島逓友の大山澄太氏から『青空を戴く』を戴いた。氏へは層雲を通して親しみを持っていたが、こうしてまとめられた文と句とをしみじみ読み味わって、氏の純情と敬虔とにうたれた。青空を戴く! この題名が何よりもよく氏の性格と本の内容とを語っている。

 あかね社の新井声風氏著『明治以降物故新派俳人伝』第壱輯の寄贈を受けて、当然出るべきものが出たことを喜ぶと共に著者の労を考えた。そして書中に、朱鱗洞葉平の名を見出して、懐旧の情を新たにした。

『松』を毎号贈って下さる浜松の同人諸君に感謝する。同時に『紅』『リンゴ』『一茶』等の同人諸君に御礼を申しあげる。
 本集には、草木塔続篇[#「草木塔続篇」に傍点]及酒についての覚書[#「酒についての覚書」に傍点]を書くつもりでいて、どうにも気がすすみませんので止めました。これからは私も書きますから、諸兄も書いて下さい。
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春は長い煙管を持つて
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     ――(二、二七、夜)――
[#地付き](「三八九」第六集)



底本:「山頭火随筆集」講談社文芸文庫、講談社
   2002(平成14)年7月10日第1刷発行
   2007(平成19)年2月5日第9刷発行
初出:「「三八九」第六集」
   1933(昭和8)年2月28日発行
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2008年5月19日作成
青空文庫作成ファイル:
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