君を煩わしたことを謝します。そして破口栓君に私はあれだけ饒舌ってもまだ饒舌り足らなかったことを伝えて置きます。最後に檳郎君にお詑します。私は本紙を七枚ばかり破棄しました。実は今夜妙に興奮していたので、筆に任せて書き続けて、さて読みかえして見ると、あまり下らない事ばかり並べているので、すまないとは思いましたけれど、そのままにして置いて同人諸君の気持を悪くするよりはましだと考えたので引き裂いて反古籠へ投り込みました。
△巡回編集としての小俳紙発行のことは漣月君からも訪問をし訪問をうけた時承りましたが、雑誌編集はなかなか困難で永続は難かろうと思いましたから、しかとした返事は致しませんでした。このことについては兼てより熟考しましたが私は巡回編集よりは寧ろ単独編集の方が永続しようと思います。二三者の手に依って単独に編集されては如何です。
△歌集、大賛成です。賛成……と意気込んでも作ることは出来ません、が作り得る様になりたいのです。十四五の頃は一寸熱中して少年界などへも投書したことがありましたが此の所は遠ざかっていますのでてんで御話になりませんが是非御仲間に入れて戴きとうございます。歌集には賛成者も多い様ですから早速に編集したいものです。編集者を誰れや彼れやと云うと暇取りますから甚だ失礼ですが最初一二度私が編集しましょう(五句集の体裁で)、早速ですが左記に依り御投書を願います。(編集其他の事項に就ては近々回章を出します。――田螺公)
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五首ずつ集
最近作
二月末日〆切 五首
(題□□□)
佐波郡三田尻駅前浴永不泣子宛
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[#地付き](椋鳥会『初凪』 大正二年一月)
底本:「山頭火随筆集」講談社文芸文庫、講談社
2002(平成14)年7月10日第1刷発行
2007(平成19)年2月5日第9刷発行
初出:「椋鳥会『初凪』」
1913(大正2)年1月
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2008年5月19日作成
青空文庫作成ファイル:
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