雑記
種田山頭火
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【テキスト中に現れる記号について】
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私には私らしい、庵には庵らしいお正月が来た。明けましてまずはおめでとうございます、とおよろこびを申しあげる。門松や輪飾りはめんどうくさいから止めにして、裏山から歯朶を五六本折ってきて瓶に挿した。それだけで十分だった。
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歯朶活けて五十二の春を迎へた
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お屠蘇は緑平老から、数の子は元寛坊から、餅は樹明居から頂戴した。
元日、とうぜんとしていたら、鴉が来て啼いた。皮肉な年始客である。即吟一句を与えて追っ払った。
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お正月のからすかあかあ
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樹明君和して曰く、
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かあかあからすがふたつ
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このふたつ[#「ふたつ」に傍点]がうれしい、二羽といわないところにかぎりないしたしみがある。さて、このふたつ[#「ふたつ」に傍点]が啼いてどこまで飛んだやら!
今年の私は山村庵居のよろこびに添えて、二つ
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