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今日の所得 (銭四十銭、米二升四合)
御馳走 (小海老のいりつけ、にんじんのおしたし、豆腐汁)
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もう栗が店に出てゐる、栗そのものは食べたいとも思はないが、栗の感じはよろしい、柿――きねり柿――をおせつたいとして頂戴した、歯がわるいから小供にくれてやつたが。
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・百舌鳥がするどくふりさうでふらない空
・馬も肥えたと朝飯いそがしく出てゆく
・秋のひかりや蠅がつるんだりして
・鮮人長屋も秋暑い子供がおほぜい
乞ひあるく旅のいやになつたバスのほこり
・売られて鳴いて牛はのそ/\あるく
牛を見送ると水涸れた橋まで
・夕立すずしくこちらで鳴けばあちらで鳴くも牛
・ほんによかつた夕立の水音がこゝそこ
・すゞしくぬれて街から街へ山の夕立
・いたゞきは夕立晴れの草にすわる
・長い峠の、萩がちつたり虫がないたり
峠くだればゆふべの牛が鳴いてゐる
・夕立晴れるより山蟹のきてあそぶかな
長屋あかるく灯して疳高いレコードの唄
アンテナがあつて糸瓜がぶらさがつて鉄道工事長屋で
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九月十五日[#「九月十五日」に二重傍線]
降
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