たりそれだけ
・死にたくも生きたくもない風が触れてゆく
・こゝにかうして私をおいてゐる冬夜
・独言でもいふほかはない熱が出てくる
・さびしうなりあつい湯にはいる
・こゝろむなしく風呂があふれるよ
・焚くだけの枯木はひろへて山が晴れてゐる
・人をおこらしてしまつて寒うをる(北朗君に)
・北朗作[#「北朗作」に傍点]るところの壺[#「壺」に傍点]に梅もどき[#「梅もどき」に傍点]あれ
庵中有暦日、偶成一句
・これがことしのをはりの一枚を剥ぐ
樹明君に
冬朝をやつてきて銭をおとした話
種田山頭火
第三句集 山行水行[#「山行水行」に白三角傍点]
[#ここで字下げ終わり]
私は私自身について語りたい、Sein の世界について。
境涯の句、彼の生活が彼の句の詞書だ。
山行水行はサンコウスヰコウ[#「サンコウスヰコウ」に傍点]とも、サンギヨウスヰギヨウ[#「サンギヨウスヰギヨウ」に傍点]とも、どちらにても読んで下さい、私にはコウがギヨウだから[#「私にはコウがギヨウだから」に傍点]、――たゞ歩く、歩くために歩くのだけれど、それは自然発生的に修するのだから。
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