するが故に新らしく、流転するが故に成長するのである、否、流転即成長[#「流転即成長」に傍点]なのである。
[#ここから2字下げ]
・煙幕ひろがつてきえる秋空
・突撃しようす[#「うす」に「マヽ」の注記]る空は燕とぶ
・タンクがのぼつてゆくもう枯れる道草
・鉄兜へ雑草のほこりがふく
   改作追加
・はてしない旅もをはりの桐の花
・晩の極楽飯、朝の地獄飯を食べて立つ
[#ここで字下げ終わり]

 九月十九日[#「九月十九日」に二重傍線]

曇、小雨がふつてゐるが、引き留められたけれど、出立する、私としては長い滞在であつた、大山夫妻の心づくしはいつまでも忘れないであらう、忘れられないであらう。
尻からげ一杯、この一杯にも澄太さんの心づくしがある、おべんたう、こゝにも奥さんの心づくしがある。
饒津神社の境内で、独[#「独」に「マヽ」の注記]壺さんがきて写真をうつした、それからいよ/\お別れだ、……山頭火一人だ。
私は東へ急いだ、十時から十二時まで海田市町行乞、行乞相申分なしといつてよからう。
私はたしかにこの旅で一皮脱いだ[#「一皮脱いだ」に傍点]。
慾望をほしいまゝにするなかれ、貪る心を放
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