2字下げ]
   十二月廿七日から風邪気味にて臥床、病中吟として
・ふとめざめたらなみだこぼれてゐた
・なみだこぼれてゐる、なんのなみだぞ
・いつのまにやら月は落ちてる闇がしみ/″\
・うつとりとしてうれてはおちる実の音も
・冬蠅のいつぴきとなつてきてねむらせない
・何を食べてもにがいからだで水仙の花
   病中吟がめづらしくもつゞく
・病めばひたゝきがそこらまで
・よびかけられてふりかへつたが落葉林
・ひさしぶりにでゝあるく赤い草の実
・いよ/\押しつまりまして梅もどき



自依帰仏 当願衆生 体解大道 発無上心
自依帰法 当願衆生 深入経蔵 智慧如海
自依帰僧 当願衆生 統理大衆 一切無礙
      (三帰礼文―華厳経偈文)
[#ここで字下げ終わり]



底本:「山頭火全集 第五巻」春陽堂書店
   1986(昭和61)年11月30日第1刷発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:小林繁雄
校正:仙酔ゑびす
2009年1月15日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全7ページ中7ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング