日来庵した巡査が私を見つけて、訊き忘れた生年月日を訊いた、さすがに職掌柄、私をよく覚えてゐて、そして私を見つけだしたものだ。
△句に遊ぶ[#「句に遊ぶ」に傍点]、私は天地逍遙遊[#「天地逍遙遊」に傍点]の境地に入り込みつゝある、それがよい、それがほんとうだ、自然にして必然な道[#「自然にして必然な道」に傍点]だと思ふ。
[#ここから2字下げ]
・ひろげて涼しい地図の、あちこち歩いた線
・はつきり見えて炎天の飛行機がまうへ
・こんなに出来てくれて青紫蘇や青唐辛
・つくつくぼうしあすから旅立つ私で
・糸瓜ぶらりと地べたへとゞいた
・かなかなのほそみちおりるはをとこにをなご
・雑草ふかくほうづきのうれてゐる夕風
・更けて戻れば風鈴は鳴つてゐる
 よい月夜、月の夜の蛇にも咬まれたが(冬村君に)
・どこでも歩かう月がのぼる
・街はお祭提灯の、人のゆく方へゆく
・今が人も出さかりの、山をはなれた月
・月へ花火の星があがつた
 朝空ふか/″\と雲のちぎれ/\
・法衣もすゝきもほうけて戻つた(追加)
[#ここで字下げ終わり]

 八月八日[#「八月八日」に二重傍線]

有明月夜、秋吉――八代――仙崎方面へ行乞と出かける。
 八月九日[#「八月九日」に二重傍線]
 八月十日
 八月十一日
       『行乞記』
 八月十二日
 八月十三日
 八月十四日[#「八月十四日」に二重傍線]



底本:「山頭火全集 第五巻」春陽堂書店
   1986(昭和61)年11月30日第1刷発行
入力:小林繁雄
校正:仙酔ゑびす
2009年1月15日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全5ページ中5ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング