行く
・これでもわたしの胡瓜としそよいでゐる
・菜も草も朝はよいかなそよいでゐる
・窓へ筍伸びきつた
・蜂がとんぼが通りぬけるわたしは閑打坐
どうやら雨となりさうな蛙のコーラス
青葉まぶしく掌をひらく
飯の煮えてきた音のしづけさで
・夕あかりの枇杷の実のうれて鈴なり
・酒がほしいゆふべのさみだれてくれ
・何やらたたく音の暮れがてに
・夜ふけて落ちる木の葉の声は柿の葉
・夜明けの月があるきりぎりす
[#ここで字下げ終わり]
六月廿日[#「六月廿日」に二重傍線]
早すぎるほど早く起きて仕度をした、すつかり片づけて、伊佐地方を行乞すべく出かけた、五時頃だつたらう。
裏山の狐が久しぶりに鳴くのを聞いた。
六月廿日[#「六月廿日」に二重傍線]
行乞記
六月廿一日[#「六月廿一日」に二重傍線]
底本:「山頭火全集 第五巻」春陽堂書店
1986(昭和61)年11月30日第1刷発行
入力:小林繁雄
校正:仙酔ゑびす
2009年1月15日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全8ページ中8ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング