かな睡眠。
せい二さんに尊敬と感謝とをさゝげる。
今日は一句もなかつた、昨日数十句あつた反動かも知れない、あるも本当、ないも本当だ。
とにかくこゝろよく酔へてぐつすり眠れた。
こゝから××まで何里ありませうかと訊ねたら、
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おぢいさんは、三里近い
おばあさんは、一里半あまり
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と教へてくれたが、おぢいさんは全然落第、おばあさんはまさに及第だつた、まあ二里位といふところであつたが。
道程を訊ねると、その教へ方によつてその人の智能性情がよく解る、それはメンタルテストといつてもよいほどに。
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今日の行乞所得
米 一升四合
銭 九銭也
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五月十五日[#「五月十五日」に二重傍線]
曇、とう/\雨になつた、半月ぶりの雨だらう、室積の人々には、せつかくの最後の書入日が駄目になつて気の毒だが、天を怨む訳もない。
私はこゝへきてゐてよかつた、安心して今日が暮らせる!
普賢様へ詣でる、女子師範校を通りぬけて大師堂へ詣でる。
皷ヶ浦はおだやかに千鳥が啼いてゐた。
学校はひつそりと風景をそなへてゐた。
え
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