う三週間あまり魚を買はない、野菜が一等おいしい。
嫁と姑[#「嫁と姑」に傍点]、これはあまりにも古い課題だ、そしていつも新らしい課題だ(今日、昼寝覚に、婆さん連中の会話を聞いて)。
夕涼み、軽い心、軽いからだ、軽い話、涼しい。
さみしさはうるさいにまさる[#「さみしさはうるさいにまさる」に傍点]。
――一箇半箇――
捨猫がうろついてゐる、彼女は時々いら/\した声で鳴く、自分の運命を呪ふやうな、自分の不幸を人天に訴へるやうに鳴く、そして食べるものがないので、夜蝉を捕へる、その夜蝉がまた鳴く、断末魔の悲鳴をあげる。……
安いものは[#「安いものは」に傍点]、マツチ、釘、浴衣、そして。――
近眼と老眼とがこんがらがつて読み書きに工合がわるくて困る、そのたびに、年はとりたくないなあと嘆息する。
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・よいゆふべとなりゆくところがない
青炎郎君にかへし
夾竹桃、そのおもひでの花びら燃えて
[#ここで字下げ終わり]
七月廿五日
何と朝飯のうまいこと! (現在の私には、何物でも何時でもうまいのだが)私はほんとうに幸福だ!
茗荷の子三把で四銭、佃煮にして置く、当分食卓
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