は師走の売りたい鯉を泳がせて
   酒壺洞房
・幼い靨で話しかけるよ
    □
・師走のゆきゝの知らない顔ばかり
・しぐれて犬はからだ舐めてゐる
    □
・越えてゆく山また山は冬の山
・枯草に寝ころぶやからだ一つ
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       ×  ×  ×
まづ何よりも酒をつゝしむべし、二合をよしとすれども、三合までは許さるべし、シヨウチユウ、ジンなどはのむべからず、ほろ/\としてねるがよろし。
いつも懺悔文をとなふべし、四弘誓願を忘るべからず。――
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我昔所造諸惑[#「惑」に「マヽ」の注記]業  皆由無始貪慎痴
従身口意之所生  一切我今皆懺悔

衆生無辺誓願度  煩悩無尽誓願断
法門無量誓願学  仏道無上誓願成
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一切我今皆懺悔――煩悩無尽誓願断――



 一月一日[#「一月一日」に二重傍線] 時雨、宿はおなじく豆田の後藤といふ家で。

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・水音の、新年が来た
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何としづかな、あまりにしづかな元旦だつたらう、それでも一杯ひつかけてお雑煮も食べた。
申の歳、熊本の事を思ひ
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