乞食は裸で寝てゐる五月晴
・だまつて捨炭を拾ひ歩く
 声をそろへ力をそろへ鶴嘴をそろへ(線路工事)
 晴れておもひでの関門をまた渡る
[#ここで字下げ終わり]
刑務所の傍を、水に沿うて酒買ひにいつた、塀外の畑を耕してゐる囚人の視線は鋭かつた。
更けて隣室の夫婦喧嘩で眼が覚めた、だから夫婦者はうるさい、仲がよくてもうるさい、仲がわるければより[#「より」に傍点]うるさい。

 五月四日[#「五月四日」に二重傍線] 曇、行程八里、埴生、今井屋(三〇・下)

行乞しなければならないのに、どうしても行乞する気分になれない、それをむりに行乞した、勿論下関から長府まで歩くうちに身心を出来るだけ調整して。
長府はおちついた町で感じがいゝ、法泉寺の境内に鏡山お初の石塔があつた、乃木神社二十週[#「週」に「マヽ」の注記]年記念の博覧会(と自称するもの)が開催されてゐた、それに入場する余裕もないし興味もないので小月まで、小月では宿といふ宿から断られた、しようことなしにこゝまで歩いた、電燈がついてから着いて、頼んで泊めて貰つた、何といふ無愛想な、うるさい、けちな宿だらう!(しかし野宿よりはマシだ、三十銭
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