持つて来た、それを穿いて、私は焼酎飲みに出かけた、何となく寂しかつた。
友のたれかに与へたハガキの中に、――
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やうやく海の威嚇と藷焼酎の誘惑とから逃れて、山の中へ来ることが出来ました、秋は海よりも山に、山よりも林に、いち早く深まりつゝあることを感じます、虫の声もいつとなく細くなつて、あるかなきかの風にも蝶々がたゞようてゐます。……
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物のあはれか、旅のあはれか、人のあはれか、私のあはれか、あはれ、あはれ、あはれというもおろかなりけり。
清酒が飲みたいけれど罎[#「罎」に「マヽ」の注記]詰しかない、此地方では酒といへば焼酎だ、なるほど、焼酎は銭に於ても、また酔ふことに於ても経済だ、同時に何といふうまくないことだらう、焼酎が好きなどゝいふのは――彼がほんたうにさう感じてゐるならば――彼は間違なく変質者だ、私は呼吸せずにしか焼酎は飲めない、清酒は味へるけれど、焼酎は呻る[#「呻る」はママ]外ない(焼酎は無味無臭なのがいゝ、たゞ酔を買ふだけのものだ、藷焼酎でも米焼酎でも、焼酎の臭気なるものを私は好かない)。
相客は一人、何かを行商する老人、無口で
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