露草が露をふくんでさやけくも
・一りん咲けるは浜なでしこ
・鵜しきりに啼いて何を知らせる
・われとわれに声かけてまた歩き出す
・はてしない海を前にして尿する
・吠えつゝ犬が村はづれまで送つてくれた
殺した虫をしみ/″\見てゐる
腰をかける岩も私もしつとり濡れて
・けふも濡れて知らない道を行く
穴にかくれる蟹のうつくしさよ
・だるい足を撫でては今日をかへりみる
暗さおしよせる波がしら
交んだ虫で殺された
霽れてはつきりつく/\ぼうし
[#ここで字下げ終わり]
此附近の風景は土佐海岸によく似てゐる、たゞ石質が異る、土佐では巨巌が立つたり横は[#「横は」に「マヽ」の注記]つたりしてゐるが、こゝではまるで平石を敷いたやうな岩床である、しかしおしよせ、おしよせて、さつと砕け散る波のとゞろきはどちらも壮快である、絶景であることには誰も異論はなからう。
現在の私には、海の動揺は堪へられないものである、なるたけ早く山路へはいつてゆかう。
私の行乞[#「私の行乞」に傍点]のあさましさを感じた、感ぜざるをえなかつた、それは今日、宮ノ浦で米一升五合あまり金十銭ばかり戴いたので、それだけでもう今
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