こに時代錯誤的な実益と趣味とが隠されてゐる。
このあたりの山も海もうつくしい、水も悪くない、ほんの少しの塩分を含んでゐるらしい、私のやうな他郷のものにはそれが解るけれど、地の人々には解らないさうだ、生れてから飲みなれた水の味はあまり飲みなれて解らないものらしい、これも興味のある事実である。
夜おそくなつて、国勢調査員がやつてきて、いろ/\訊ねた、先回の国勢調査は味取でうけた、次回の時には何処で受けるか、或は墓の下か、いや、墓なぞは建てゝくれる人もあるまいし、建てゝ貰ひたい望みもないから、野末の土くれの一片となつてしまつてゐるだらうか、いや/\まだ/\業が尽きないらしいから、どこかでやつぱり思ひ悩んでゐるだらう。
元坊にあげたハガキに、――とにかく俳句(それが古くても新しくても)といふものはやつぱり夏爐冬扇ですね、またそれで十分ぢやありませんか、直接其場の仕事に役立たないところに俳句のよさがあるのではないでせうか、私共はあまり考へないでその時その時の感動を句として表現したいと思ひます。
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 夕日まぶしい銅像を仰ぐ
 涸れはてゝ沼底の藻草となつてしまつて
 波の音たえ
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