最近の感想
種田山頭火
−−
【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)理解ある俳論[#「理解ある俳論」に傍点]
−−
現時の俳壇に対して望ましい事は多々あるが、最も望ましい事の一つは理解ある俳論[#「理解ある俳論」に傍点]の出現である。かつて島村抱月氏は情理をつくした批評ということを説かれた。それとおなじ意味に於て、私は『情理をつくした俳論』を要望する。
合しても離れても、また讃するにしても貶するにしても、すべてが理解の上に立っていなければならない。個々の心は或は傾向を異にし道程を異にするであろう。しかしながら、それらはすべて真実から出発していなければならない。
評者の心は作者の心にまで分け入らなければならない。広い正しい心は毒舌や先入見や一時の感情を超絶する。つつましやかにしてしかも力強く、あたたかにしてしかも権威ある批判は、魂と魂、真実と真実とが接触するところから生まれる。私は人間本来の声――その声に根ざした俳論を熱求して居る。
季題論が繰り返される毎に、私は一味の寂しさを感じないでは居られない。ただ季題という
次へ
全4ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング