持はドストエヴスキーやストリンドベルヒのそれらでなくしてチェーホフのそれに近い。微笑でもない、慟哭でもない、泣笑である。赤でもない、黒でもない、クリーム色である。
△『三十男にも春は嬉しい。』と白泉君が呟く。『嬉しくないこともないね。』と私が答える。『あまり嬉しくはないんですか。』と誰やら若い人が混ぜ返す。――こういう心持をおどけた態度[#「おどけた態度」に白三角傍点]でうたってみた。断るまでもなく与太郎の囈語《たわごと》みたいなものである。本号の雑録があまり淋しいから、筆序に書いて置きました。真面目に読んで下さると、諸君より先に、私の方がじっとしていられません!
[#ここで字下げ終わり]
[#地付き](歌集『四十女の恋』所収 大正二年)
底本:「山頭火随筆集」講談社文芸文庫、講談社
2002(平成14)年7月10日第1刷発行
2007(平成19)年2月5日第9刷発行
初出:「歌集『四十女の恋』」
1913(大正2)年
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2008年5月19日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http:
前へ
次へ
全6ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング