ろくろ首
ROKURO−KUBI
小泉八雲
田部隆次訳
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)武連《たけつら》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)磯貝平太左衞門|武連《たけつら》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]
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五百年ほど前に、九州菊池の侍臣に磯貝平太左衞門|武連《たけつら》と云う人がいた。この人は代々武勇にすぐれた祖先からの遺伝で、生れながら弓馬の道に精しく非凡の力量をもっていた。未だ子供の時から劒道、弓術、槍術では先生よりもすぐれて、大胆で熟練な勇士の腕前を充分にあらわしていた。その後、永享年間(西暦一四二九―一四四一)の乱に武功をあらわして、ほまれを授かった事たびたびであった。しかし菊池家が滅亡に陥った時、磯貝は主家を失った。外の大名に使われる事も容易にできたのであったが、自分一身のために立身出世を求めようとは思わず、また以前の主人に心が残っていたので、彼は浮世を捨てる事にした
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