かしいと云う事だけさ」それから囘龍は大笑をして去った。
こんなにして盗賊は首と、衣を手に入れてしばらく、お化の僧となって追剥ぎをして歩るいた。しかし諏訪の近傍へ来て、彼は首の本当の話を聞いた。それからろくろ首の亡霊の祟りが恐ろしくなって来た。そこでもとの場所へ、その首をかえして、体と一緒に葬ろうと決心した。彼は甲斐の山中の淋しい小屋へ行く道を見つけたが、そこには誰もいなかった。体も見つからなかった。そこで首だけを小屋のうしろの森に埋めた。それからこのろくろ首の亡霊のために施餓鬼を行った。そしてろくろ首の塚として知られている塚は今日もなお見られる。(とにかく、日本の作者はそう公言する)
底本:「小泉八雲全集第八卷 家庭版」第一書房
1937(昭和12)年1月15日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
その際、以下の置き換えをおこないました。
「敢て→あえて 或→ある・あるい 居→い・お 如何→いか 何れ→いずれ 置→お 沢山→たくさん 度々→たびたび 多分→たぶん 甚だ→はなはだ 程→ほど 先ず→まず 若し→もし 余程→よほど 故→ゆえ 僅か→わずか」
入力:京都大学電子テクスト研究会入力班(大石尺)
校正:京都大学電子テクスト研究会校正班(大久保ゆう)
2009年8月4日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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