将来の日本
再版の序
中江篤介

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)碩学《せきがく》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)君|齢《よわい》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
  (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+霍」、63−下−14]
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 熊本の徳富君猪一郎、さきに一書を著わし、題して『将来の日本』という。活版世に行なわれ、いくばくもなく売り尽くす。まさにまた版行せんとし、来たりて余の序を請う。受けてこれを読むに、けだし近時英国の碩学《せきがく》スペンサー氏の万物の追世化成の説を祖述し、さらに創意発明するところあり。よってもってわが邦《くに》の制度文物、異日必ずまさになるべき云々の状を論ず。すこぶる精微を極め、文辞また婉宕《えんとう》なり。大いに世の佶屈《きっくつ》難句なる者と科を異にし、読者をして覚えず快を称さしむ。君|齢《よわい》わずかに二十四、五。しかるに学殖の富衍《ふえん》なる、老師宿儒もいまだ及ぶに易からざるところのものあり。まことに畏敬すべきな
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