したというところが、いささか外人的である。彼女があんこう料理に少しでも知識をもっていれば、いきなりKさんに電話して「馬鹿」の一喝を食わしたはずである。「皮はどうした、肝は、鰭は、臓物は」とたたみかけて問いかけるに違いない。「Kさん、あんたは馬鹿だよ。あんこうの肉なんか、あんこう食いは昔から食わないと決まっていますよ」と叱《しか》りつけるところだろう。
さてあんこうかな……などと思ってみる余地はないはずだ。済んだことは仕方がない。それよりは身近な日本料理、まずそれを知ってほしい。お気に入ること請け合いだ。手初めにわたしがあんこう料理をして、御賞味願いましょうか。冬がいささか待ち遠しいけれど。
底本:「魯山人の美食手帖」グルメ文庫、角川春樹事務所
2008(平成20)年4月18日第1刷発行
底本の親本:「魯山人著作集」五月書房
1993(平成5)年発行
初出:「独歩」
1952(昭和27)年
入力:門田裕志
校正:noriko saito
2009年12月4日作成
2010年1月13日修正
青空文庫作成ファイル:
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