にかぎる。すべらないので、豆腐が引き上げやすい。銀の網匙《あみさじ》などがあれば充分である。
一、だし昆布 水の豊かに入った鍋の底に一、二枚敷いて、その上に豆腐を入れて煮る。昆布の長さ五、六寸。昆布は鍋に入れた場合、煮立ってくると湯玉で豆腐ののった昆布が持ち上げられる恐れがあるので、切れ目を入れておくようにする。
一、薬味 ねぎのみじん切り、ふきのとう、うど、ひねしょうがのおろしたもの、七味とうがらし、みょうがの花、ゆずの皮、山椒《さんしょう》の粉など、こんな薬味がいろいろあるほうが風情があっていい。この中で欠くことのできないのはねぎだ。他のものは、そのときの都合と好みに任せていい。それからよく切れる鉋《かんな》で、薄く削ったかつおぶし適量。食事する前に削るのが味もよく、香りもよい。
一、しょうゆ 上等品に越したことはない。しょうゆに豆腐をつける前に、先に述べたかつおぶしだの薬味を入れていい。豆腐には、敷いた昆布の味がついているから、おのずから味の調節がつく。なるべく化学調味料は加えないほうがいい。
一、豆腐(前記の通り)
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なお、もともと東京人は美食知らずで
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