素人製陶本窯を築くべからず
――製陶上についてかつて前山久吉さんを激怒せしめた私のあやまち――
北大路魯山人
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)轆轤《ろくろ》
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(例)伊賀|信楽《しがらき》
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(例)[#ここから1字下げ、折り返して3字下げ]
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(一)
私は日頃の心がけとして、後悔になるようなことは決してせんつもりでいるが、事実は、どうしてどうして大いに後悔することが次から次へ湧いて出て当惑することが少なくない。
例えば先年前山久吉さんを激怒せしめたなどはその例のゆゆしき一つである。それが場所もあろうに三越の四階、私の作陶展覧会場でである。従って多勢の人ごみの中でだ。相手は耳順、私は知天命に近からんとする者、この二人が勢いづいてついに馬鹿野郎を相互連発したのだから私として後悔せざらんとしてもしないわけにはゆかない。
事の起こりは製陶上の問題であって、見解の相違からなのだった。
当時前山さんが鎌倉の自邸に製陶窯を築かんとされたとき、私
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