近作鉢の会に一言
北大路魯山人

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)於《お》ける

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)高麗|雲鶴手《うんかくて》鉢
−−

 料理は食器なしでは存在しないようです。
 料理に対する食器の存在は人間に於《お》ける着物の存在でしょう。着物なしでは人間が生活出来ないように、料理も食器なしでは独立することは出来ません。そう言えば食器は料理の着物だと言えましょう。
 しからば料理に関心を持つ者は、料理の着物である食器に関心を持つ者は、料理の着物である食器に関心を持たぬ訳にはゆきますまい。古来人間が着物のこと衣裳のことに多大な関心を以《もっ》てデザインが研究され、素地である織物、染色に驚くばかりの進歩が成し遂げられています。料理に於ける着物の食器も中国に於《おい》ては疾《と》く明代、四、五百年前に既に完成を見ています。朝鮮では挙げて食器と言うほどのものはありませんが、御本手《ごほんて》、樫手《かして》、やわらか手などいう鉢、高麗|雲鶴手《うんかくて》鉢、その他日本で抹茶碗に利用しているものに相当のものがあります。日本で四、
次へ
全5ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
北大路 魯山人 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング