時によっては、普通の甘だいの値段の五分の一から十分の一ぐらい安い時もある。形も大きいので、小田原ではかまぼこの材料にずいぶん使っている。
列車で持って来るほど使っているので、現今の小田原のかまぼこは色がついていて、味がくどく、昔の面目を失っている。
本来高級魚である甘だいが、遠隔のため時間が経ち、その美味をまっとうしないのである。産地で食うと、もちろん美味なものである。
この魚は、イタリアのナポリで食ったことがあるが、うまい魚のなかった外国で、とても美味に感じた魚である。
底本:「魯山人の美食手帖」グルメ文庫、角川春樹事務所
2008(平成20)年4月18日第1刷発行
底本の親本:「魯山人著作集」五月書房
1993(平成5)年発行
初出:「星岡」
1934(昭和9)年
入力:門田裕志
校正:noriko saito
2009年12月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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