美味いうなぎで心楽しませて欲しいものである。
参考までに、うなぎ屋としての一流の店を挙げると、小満津《こまつ》や竹葉亭《ちくようてい》、大黒屋《だいこくや》などがある。現代的なものに風流風雅を取り入れた、感じのよい店といえよう。中でも先代竹葉の主人は名画が非常に好きで、とりわけ琳《りん》派の蒐集《しゅうしゅう》があって、今日特にやかましくいわれている宗達《そうたつ》、光琳《こうりん》のものなど数十点集めておったほどの趣味家で、この点だけでも大したものであった。今なお竹葉の店に風格があるのは、そのためである。
美を知るものは、たとえ商売が何屋であっても、どこかそれだけちがうものがある。
次にうなぎの焼き方であるが、地方の直焼《じかや》き、東京の蒸し焼き、これは一も二もなく東京の蒸し焼きがよい。
底本:「魯山人の食卓」グルメ文庫、角川春樹事務所
2004(平成16)年10月18日第1刷発行
2008(平成20)年4月18日第5刷発行
底本の親本:「魯山人著作集」五月書房
1993(平成5)年発行
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2009年12月4日作成
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