である。今こそ根利村は赤城根村の中に含まれて、利根郡に編入されているが、もとは北勢多郡の村であった。富士見十三州輿地全図には果して根利村(本図には誤って利根となっている)の東北隅利根郡に接して、下野境にサク山と記入してある。座句は即ちサクであり、その位置から推して皇海山に相当するらしく思われる。もしそうとすれば座句沢というのは、今の不動沢|乃至《ないし》栗原川を指したもので、砺砥沢は砺沢なること疑《うたがい》を容《い》れない。
『郡村誌』によると更にそれがたしかだ。同書利根郡平川村の山の部に、
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笄山。勢多郡ニテ之ヲサク山ト云。下野上野両国ニ跨リ、高峻ニシテ高不詳。村ノ東南ニ聳ヘ、南辺根利村ニ属ス。峻ニシテ登路ナシ。樹木栂椴ヲ生ズ。山脈南方ニ施テハ下野国足尾山庚申山ニ連リ、東方ハ日光山ニ連ル。
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とあるので、サク山の座句山と同一山なることも、またそれが皇海山に一致することも、説明を待たずして明《あきらか》である。
それから笄山だが、これは『郡村誌』に読方が記入してないので、音読するのか訓読するのか判然しないが、普通にはコウガイと訓読するの
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